【Web3の入門書】「仮想通貨とWeb3.0革命」千野剛司(著)の感想

本の感想
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本記事はWeb3へ興味のある方に、入門書として最適な1冊だと感じた本を紹介します。

Web3の本がたくさんあるけど、素人や初心者でも分かる本が欲しいという人には参考になると思います。

本書を読んだきっかけ

仮想通貨について解説した本を2冊読んだことで、仮想通貨への理解と興味が深まった。

仮想通貨への興味が増した私はもう1冊だけ本を読んで知識を得てから、仮想通貨の世界に踏み込みたいと思い、3冊目の本を探していた。

すると仮想通貨だけでなく、当初はよく分からなかったWeb3について解説している本書、
「仮想通貨とWeb3.0革命」千野剛司(著)に出会った。

本記事はこの本を読んでいて印象に残った所を紹介したいと思う。

読んで印象に残った所

Web1,2,3の説明

Web3について語る前に、その前世代にあたるWeb1とWeb2について理解する必要がある。

本書ではWeb1、Web2、Web3について分かりやすく解説している。

ここでは、本書を読んで私なりに解釈した考えを以下の表にしてみた。

世代概要具体例
Web1読む企業や個人のホームページ
Web2読む 書くfacebook、twitter、youtube
Web3読む 書く 実行するブロックチェーンを使った仮想通貨、アプリ

要するに、Web1の時はネット技術が出てきたばかりでホームページを作ることしかできず、専門的な知識が無い利用者は情報を一方的に「読む」だけであった。

これが技術の進歩により回線の高速化、大容量化が進みfacebookやtwitterなどのSNS、youtubeの動画サイトが登場した。

これにより利用者は「読む」だけでなく「書く」、つまり情報発信ができるようになった。
これがWeb2である、現在2023年でも主流のスタイルだ。

利用者が情報発信できるようになり、非常に便利になったのは良いことだが1つ問題が出てきた。
それは情報の寡占化である。

GAFAがその代表例であろう。
Google、Apple、Facebook(現在はMeta)、AmazonはWeb2の象徴といってもいいかもしれない。

利用者が情報発信できるようになったのは、前述のとおりだが、情報発信する際には、GAFAのアプリを使用する人がほとんどだろう。

問題はGAFAのアプリを使用した際に企業側は利用者から得た情報を活用できるが、利用者からはメリットがほとんどないことだ。

GAFAはアプリの向上に役立てているのかもしれないが、利用者からはどの情報を利用されているか分からない。

情報を利用できているのは実質的にGAFA側なのだ。

その情報格差の問題に対して新たな概念が誕生した、Web3である

「読む」「書く」だけでなく、情報の利用を個人でも可能にし、情報を元に個人がしたいことを「実行する」概念を言う。

具体例としてはブロックチェーンを使った仮想通貨、アプリである。

ブロックチェーンを簡単に説明すると、複数の台帳(データ)を鎖状に繋ぐことで改竄不可能にする新しい技術を指す。

肝はブロックチェーンを使用していることだ。

ブロックチェーンを使っているデータの取引履歴は、ネットに接続していればどこでも閲覧することが可能なのだ。

企業だけができた情報の利用が個人でも利用でき、情報を元に個人がしたいことを「実行する」ことが可能となる。
これがWeb3の根本的な考えだと私は感じた。

ビットコインはブロックチェーンの歴史

Web3を代表するものとしてNFT(ノン・ファンジブル・トークン)がある。

意味を知らなくてもNFTという単語を聞いた人もいるのではないだろうか。

このNFTにはもちろんブロックチェーンが使われている。

しかし、ブロックチェーンの歴史で言えば後発組と言えなくもない。

このブロックチェーンが初めて使用されたのがビットコインであり、それから膨大な数の仮想通貨が誕生していった。

仮想通貨の誕生は少し落ち着いた感じがあり、現在は仮想通貨を基盤としたアプリの実用化に向けて動いている印象がある。

現在2023年では仮想通貨へのマイナスイメージが少しは和らいできて、Web3への波が普及する兆しを見せている
来年2024年は状況が大きく動く予感がする、本格的にWeb3が普及し始めWeb3元年になるかもしれない。

しかし、仮想通貨に対していまだに投機や金儲けを目当てに手を出している人が多いように見受けられる。
またWeb3に興味はあっても、仮想通貨は怪しいイメージがあるから手を出したくないという人もいると感じる。

金儲けをきっかけに仮想通貨へ手を出すのは、私は1つのきっかけとして悪くないと思っている。
ただ、それだけでは勿体ないなと感じる。

今は仮想通貨が金儲けの面が強く出ているかもしれないが、本来の仮想通貨は個人と個人の価値交換のためにある。
仮想通貨の値段が米ドルや日本円のように安定するまで、高い波(高値)と低い波(低値)が繰り返されているだけの話だ。

そこから一歩踏み込んで個人が本当にしたいことができる可能性があるWeb3に触れてみると人生の選択肢が増えると感じたので、気が向いたらWeb3について調べることをお勧めしたい。

NFT

Web3の代表格であるNFT(ノン・ファンジブル・トークン)にも非常に興味深かった。

直訳するとNon Fungible(代替が可能ではない) Token(証拠)、
「代替が可能ではない証拠」、
意訳すると「代わりが効かない電子データ」だと私は感じた。

簡単に説明すると、「電子データ(画像など)にブロックチェーンを使って著作権を付与したもの」を指すと分かった。

インターネットで画像検索すると画像が無数にヒットする。
この画像データはやろうと思えば個人でいくらでもコピー、ペーストができる。

現在のネットでは著作権がうまく機能しているとは言えない。

このネットで著作権がうまく機能していない問題に、NFTが解決策となるかもしれない。
分かりやすい例が、漫画であろう。

違法ダウンロードは年々取り締まりが強化されているが、いまだに違法ダウンロードは続けられている。

それに漫画を書店で買うときは作者に利益が入るが、個人が店やネットで転売した場合は作者に1円も入らないという問題がある。

その点NFTであれば取引履歴は改竄不可能なので違法ダウンロードの追跡が可能であるし、ネット経由でNFT漫画が転売されても作者に利益が入る仕組みが構築可能なのだ。

いまはまだWeb3黎明期なので先のことは分からないが、NFTはインターネット上の著作権への問題を解決する可能性を感じる。

アスターネットワーク 渡辺創太

最後に日本発の仮想通貨を作り、世界で活躍している渡辺創太さんについて記載しようと思う。

現在2023年の仮想通貨は20,000種類(!)を超えており、このほぼすべてが外国発である。

そして数少ない日本発の仮想通貨がAster Network(アスターネットワーク)であり、将来性を非常に感じるものであった。

渡辺さん曰く、ビットコインやイーサリアムを始めとして、有名な仮想通貨としてポルカドット・ソラナ・アバランチがあるが、繋がっていない。厳密には繋がっているが、非常に遅いという問題がある。

アスターネットワークは上記の有名な仮想通貨同士を繋げる中継地点としての役割を意識して開発しているそうだ。

なるほど、何となくだが私の中でイメージがついた。

簡単な例で示すと、「日本にあるTポイント、楽天ポイント、Pontaポイントなどたくさんのポイントがあるが全て独立していて繋がっていない。なので全てのポイントを全店舗で使えるように繋げよう」ということなのかなと感じた。

実際私は買い物する時によく思うのだが、店舗によって貯まるポイントが別々なので管理が非常に面倒なのだ。

店舗側からしたらリピーターを増やすための戦略なのだろうが、客からしたらポイントを5~10も管理するのは非常に面倒と思う人が多数派だろう。

ポイントの管理でも面倒なのに、仮想通貨を何種類を使い分けて管理できる人は極少数だと思う。

Web3が発展すればするほど、有名な仮想通貨同士を繋げる中継地点としての役割が重要になってくると思うので、将来性は非常に高そうだと私は感じた。

まとめ:Web3に興味あるけど初心者に分かりやすい本はない?という人にオススメ!

本書は以下のような方にオススメです ↓

・Web3に興味あるけど、情報が多すぎて何がなんだが分からない。
 初心者に分かりやすい本が欲しい。

・Web3だけでなく、仮想通貨について一緒に解説している本が読みたい